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作品.No.6040  ヴェルディの〈オテッロ〉

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オペラ映画、'72 カラヤン、ベルリン・フィル、映像:'73、
ヴィッカーズ、フレーニ、
ピーター・グロソップ(ヤーゴ)…演技力、中々の役者振り、
ステファニー・マラグー(エミリア)
アルド・ボッティオン(カッシオ)
ミシェル・セネシャル(ロデリーゴ)
マリオ・マッチ(モンターノ)
ホセ・ヴァン・ダム(ロドヴィーコ)

冒頭、嵐のシーン、荒れすさぶ海景、入り江に飛散する波しぶき、
沈むかと見える帆船、見守る群衆の合唱アンサンブル、見事、

映像美、映像的手法の巧み、
水面のきらめき、城砦内部・衣装、等々のリアリティ、
群集の歓喜の歌・踊り、剣闘シーン、

旋律的要素僅少、ヴェリズモ風というのか、ロマン派オペラというのか、
劇と音楽の融合・一致を志向、
ベル・カント・ファン(オペラ=快楽)には、
実際の所、しんどい、一寸退屈、忍耐が要る、
この〈オテッロ〉や〈ファルスタッフ〉が、最高傑作と銘打たれているが、
ヴェルディ・ファンでもある私にとって、俄かには首肯出来ない、

まあ、主張したい訳ではないので、先へ進もう、
一寸した思い付きで、ロッシーニの〈オテッロ〉と見比べてみようと思った訳、

さて、物語は卑劣極まる小悪党の権化、ヤーゴの長広舌アリア、
卑賤の出自、如何にして上昇志向を満たし、頭角を現すか、

教唆、策謀、唆し、オテッロの嫉妬心に火をつける、ヤ-ゴとの二重唱、
オテッロの怒り、証拠への拘り、オテッロがデズデモナに贈ったハンカチ、

ヤーゴの奸計に翻弄され、唯々諾々とヤーゴを信用し切っている、
平常心を欠き、ムーア人である事の引け目を勘案しても、
嫉妬・復讐を決め付けるとは、何とも愚かしい・短絡的ではないか、
確かな証拠というが、ヤーゴの騙るハンカチだけではないか、
将軍として兵達の司令塔となる人物が、人物を見分ける眼力欠如、
衆目の信頼を集める秀でた人物とは思えない、

如何にヤーゴの巧みな煽動によって、
嫉妬心にとらわれ、世間体・面子への恥辱故に憤激しようと、
曖昧な証拠を信じ切るとは不可解、確実な真実を確かめるべきで、
懲罰殺害に至る苦悩・葛藤も十分には描かれていない、
非情にも、安らかに寝入る、清廉潔白のデズデモナを絞殺、


釈然としない故、原作を読む必要を感じ、原作を読んでみた、
三百代言さながら喋くり捲くるヤーゴ、演劇として非常に巧緻を極めている、
オセロは巧みなヤーゴの奸計に惑わされるばかり、
不可解にもヤーゴを信用しきっている訳だが、
邪心に貫徹、小悪党の権化、ヤーゴこそこの劇の主役と思える、
原作に於いても、「人物優れた将軍ともあろう者が、なんと軽率な」
元老院議員ロドヴィーコに慨嘆してのたまわせている、

ロデリーゴは原作通り、端役・小人物として描かれる、

原作では、
エミリアがデズデモナの潔白を宣し、ハンカチの行方を言い募ろうとした所、
その夫、ヤーゴに刺し殺され、ヤーゴは逃亡するが、やがて捕らえられ、
全ての奸計は暴露され、一応のカタルシスは成就する、

名誉の為、無実の妻を殺害し、名誉の為、自害し果てる、
悲劇だからといって、それだけじゃ得心が行かないのであって、
原作の結末を、工夫してオペラ化したら、どうだったろうか、
なんて考えたってしょうもないか、
by mgahiru | 2014-08-26 23:03 | 音楽
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