舞台形式祝典カンタータ ナポリ王フェルディナンド4世の姪でオーストラリア皇帝フランツ1世の娘カロリーナと ルイ16世の末弟で後にシャルル10世となるアルトワ伯の次男ベリー公の 婚姻を祝う機会作品。 その婚姻は、ナポレオン戦争を経た各国の王制が、 血縁による結び付き強化の目的を担う。 題材は、ギリシャ神話のテティスとペーレウスの結婚から採られている。 海の女神テティウスが、ゼウスやポセイドーンの求婚を退け、 人間の英雄ペーレウスと結婚し、アキレウスが誕生する事から、 婚礼祝いに相応しいとされる。 CD2枚の聴き比べになってしまうが、シャイー盤の豪華キャストは嬉しい限り。 他方、世界初録音のMarc Andreae盤 (読みは、“マルク・アンドレア”でいいのだろうか) 例によって、旧作転用を多用して成り立つ作品であるが、何の作品で聴いたのか、 判じ物めいて、それが愉悦に満ちた、ロッシーニ様式と言えるかも。 ペレーオのカヴァティーナは〈シジスモンド〉からの転用だそうだ。中々の秀曲。 シャイー盤では、ロッシーニ・テノールとしての高い評価定着、フローレスが歌っている。 アンドレア盤ではホアン・ホセ・ロペラ、素性は良くは分らないが結構好いじゃないか。 シャイー盤でテーティを歌うエリザベッタ・スカーノ、これはハッとさせる高音の美声。 何といっても聴き所は、チェレーレ(豊穣の女神)のアリア、またまた、 これは〈セヴィリアの理髪師〉アルマヴィーヴァ伯爵の難曲アリア 「もう逆らうのは止めろ」の転用。 シャイー盤、バルトリの圧倒的歌唱力に驚嘆。これぞ、真正迫力装飾歌唱。 アンドレア盤のタチアナ・コロヴィーナであるが、 これが、やや不安定感の箇所はあるものの、 ソプラノ・レッジェーロの美声で聴くチェレーレのアリアが、 何とも官能的で魅力的、好いぞ、好いぞ。 このコロヴィーナ、〈Il Vero Omaggio〉でも魅力的な歌唱を聴かせてくれる。
by mgahiru
| 2010-09-09 17:58
| 100枚ごとの節目に
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